Programs / 最終更新時間:2005年08月02日 02時14分53秒

序文

ゲームのプログラミングにおいてはGame Programming Gems、デザインパターンカタログ、リファクタリングといった実践的知識の共有が進んでいるのですが、ゲームデザインにおいてはそのような知識の共有はあまり行われていないようです。そこで、メモ的にゲームデザインの実践的TIPSをまとめていこう、というのがこのページです[1]

  • [1]試行錯誤しながら徐々にページも増やしていく――つもり。投稿もお待ちしております。

目次

一章 序盤のゲームデザイン

これからゲームデザインを行おうとするときに知っておくと便利なGemsです。

先人の知恵を活用

ゲームの遊びの研究に関する文献はいくつかありますが、ネットで見ることの出来る資料は限られています。しかし、以下にあげるリンクは古典的なものから新しいものまでとても参考になります。実際のゲーム開発者や優れたゲームプレイヤーの言葉を聞いておいて損はありません。

コスティキャンのゲームデザイン論

馬場秀和ライブラリにて公開中のゲームデザイン論(1994年)邦訳です。

クロフォードのゲームデザイン論

Scoops RPG内にて公開されているゲームデザイン論(1982年)邦訳です。

Game @ ゲームの未来を考える

チューチューロケット!のゲームデザイナー栢孝文さんがまとめられているゲーム制作理論です。

ボードウォーク・コミュニティのゲーム論

ゲームとほかのものとの違いがボードゲーム視点で説明されています。

桜井政博氏のリスクとリターン

ゲームの面白さ(のひとつ)を「リスクとリターン」という考えで説明できると、分かりやすく講演されています。

これらの基礎知識や自分がゲームデザインで重視するものをまとめたレポートやチェックリストを用意し、新しく考えたゲームがどのくらい要求を満たしているか、項目を生めながら確認できるようにしておくと便利です。実際の制作の前に何度かこの作業を繰り返し、ゲームデザインを推敲しましょう。

二章 ゲームデザインの再設計

すでにある程度出来上がっているゲームを再設計するときに便利なGemsです。

プロトタイプによるゲームの再設計

プロトタイプを早い時期に用意

映画や小説以上に、ゲームは実際に動くものを遊んでみないと気がつかないことが多々あります[2]。プロトタイプが開発中盤にできる予定であれば、そのプロトタイプをもっと簡略化して、もっとも重要な部分を開発の序盤に遊べるようにしましょう。

  • [2]もちろん、実際に遊んで見るまでもなく分かることも多々あります。

プロトタイプがつまらなくても目を背けない

さて、プロトタイプ、あるいはその先のα版、β版をプレイしたんだけれどこんな気持ちになったとしましょう。「おや、なんだかゲームになってないな」、「淡々としている」、「プレイ中なにをやっても勝てない/適当にやっても勝てる」、「なにをすればいいのかよくわからない」、「派手だけど興味がわかない」……etc.

作っているゲームがピンとこないのは気の滅入る話です。しかし、数回プレイしてやめて、頭の中や机上の打ち合わせで悩みはじめるのはもったいないでしょう。せっかくプロトタイプがあるのだから。すぐに対策を立てて「今のゲームは要素Xが入っていないからだ」「要素Yを要素Zに変更すれば大丈夫では」として、いまのプロトタイプのマズさから目を背けることができますが、それはもう少し先にしましょう。

プロトタイプを遊びつくす

まず、プロトタイプを遊びつくすのです。確かにプロトタイプのマズイ部分は目につくし、自分の考えと違う結果を目にするのは辛いことです。次々と聞こえてくる不満の声に身を切り裂かれる思いでしょう。すぐに変更要素を列挙する作業に入ろうとするのも分かります。しかし、そういうときは「勝負するのは完成品であって途中のものじゃない。完成品は必ず面白くなるし、するのだ」と心に決めて、今はプロトタイプに注意を向けましょう。

そんなプロトタイプにも、ときどき「ん? これは気持ちいいな」、「あ、さっきは失敗したけど、こうやればうまく倒せるな」、「このデバッグ機能で見る視点いいね」、「間違えていれたパラメータだけど、これくらい早いとテンポ変わって楽しいかも」…などなどたまに小さくてもキラリと光る要素に出くわすことがあります。悪いところをつぶすより、良いところを伸ばすことでゲームの面白さを改善できるかもしれません。

丸一日、皆でプレイするだけの日にしてもいいでしょう。対戦できるゲームであれば、トーナメント戦やリーグ戦もいいですね。真剣に戦っていくうちに漫然とプレイしていたゲームに攻略法が生まれることもあります。自分がプレイしていないときも、ひとのプレイを観察しましょう。考えもしなかった遊び方や戦法、プレイのつまづき、緊張感のある場面とだれた場面を目にすることができるでしょう。

一番重要な要素に絞った変更を行う

一番面白かった要素、一番イライラした要素をまとめてみましょう。なぜ面白かったのか、なぜイライラしたのか。書いたら二、三日おいてから、それが本当にその理由で面白かったり、イライラしたのか、一番目に列挙する要素なのか考え直してみましょう。

複雑な対処をする前に、自分はこのゲームでどんな気持ちを体験したかったのか、改めて思い出しましょう。そうすると、目指す山の頂、その先の長さに途方にくれてしまうかもしれません。でも今は目指すべき道とそこにある障害は見えているはずです。闇雲に歩く恐れは前よりも減っていると思いませんか。

いっぺんに解決しようとせず、一番大事な要素で駆け引きが成り立つようにしましょう。そこだけで勝負ができるように。その一番大事な要素が当初考えていたものと違ったとしても、他のゲームとまったく違ったとしても――躊躇することはありません。それがこのゲームの基礎となる力になるでしょう。