Stories / 最終更新時間:2003年11月06日 05時13分31秒
色々と試してみて、一番よいと思った、小説を書く手順について書いています。あるいは、その試行錯誤について。
一部、本からの引用があります。それらのためになる本は以下のとおり。[1]
スティーヴン・キング「小説作法」
ディーン・R・クーンツ「ベストセラー小説の書き方」
井上ひさし「自家製文章読本」
シド・フィールド「シナリオ入門」
- [1]ほかにもいろいろ読みましたが、ここにあげたものが分かりやすくてよいと思います
物語に必要なものは、
- (主人公への)感情移入
- 繋がりのある意外性
- ユニークさ
テーマもアクションもセリフも、個性的な人物も、魂を込める気持ちも、すべてこの中に含まれている。
どんな話にしたいかを決め、キャラクターを決め、話を書き始める。
その一話で主人公がどんな状況になるか、どうなるか、だけはしっかりと「心に」決め、間の展開は自由に書く。
そのとき文章を書きながら、ここでこうなったら面白い、そのままだと普通すぎてつまらない、など、読者(自分含む)と主人公の気持ちで先の展開を考える。[2]
- [2]面白いと思う展開――それは、主人公に厳しく、ただし、ずっと厳しいだけでなく、安心や喜びなどを挟んだ感情の起伏がある展開
その場その場では意外性のあった展開が、全体から見るとなんの繋がりもなく、疑問も解決(疑問を伏線とした解決)もないようではピンとこないので、意外な展開後のどこかで繋がりを見せることが大事。
あとは自分がいかに感情移入するか。
いくつも物語を書こうとして、途中でやめてしまっていないだろうか。
原因は「書く動機が明瞭でないからだ」
なぜ、なんのために書くのか。これを短文で明瞭に書くこと。
「動機はほとんどインスピレーションの母である。そして、動機が明瞭でないと、内容が決まらない。」(自家製文章読本(井上ひさし))
何度も今の話を書くのをやめて、別の話を書こうとするのは内容が決まっていない証拠だ。
もうひとつ思いあたる原因があるのではないか。
「こんなものが公開されていても自分は読まない。他の人も読まないだろうからだ」
これを回避するには2つ方法がある。
ひとつは、書きたいことを書いているのだから、読まれなくてもかまわないというほど、他人を気にせず書くことだけを目的に、書きたいことを書くこと。
それは、書きたいことを書いているだけで満足なのだから、作業は不毛ではないということ。
もうひとつは、自分が面白いと感じるウリとなるポイントやテーマができたら、筋がどうだろうと、文章がどうだろうと、気にせず最後まで書くこと。面白くなくて当然、面白くするのは最後まで書いた後でいい、あるいはこれで失敗してもその分自分の中に経験が残るからかまわない、という気持ちで書くこと。それは、読まれない、面白くないのは嫌だが、その作業・経験はあとで役に立つのだから、不毛ではないということ。
WRITING IS REWRITING という言葉を励みにかえて。
「終わらせない」ことが、「続ける」コツ。
それは切りのいいところを作らないということ。
書くうえでは、切りのいいところでやめず、次の日にもちこす。読むうえでは、切りのいいところがなければ、読むのをやめられない。緊張感が継続する。
物語を作るときは「分析するのではなく」、主人公や登場人物たちの姿、行動、ドラマを「想像する」。心に引っかかるものがあって、物語が見えてきて、いくらか進めた後、はじめて分析が必要になる。
想像こそが、もっとも楽しいひとときだ。
プロットを作るときは「想像することが楽しい」プロットを作ること。想像したくないような話は、読みたくない。想像することこそ、書くことだ。
話を考えるときは、自分が作ろうと思っている話に必要な条件を箇条書きにして明確にしておく。
それは技術的なことではなく、ウリとなるもの(〜によって生まれる〜という感情)等のこと。
次に、これを主人公や世界設定として、箇条書きの項目ごとに1文にして対応させたものを書く(〜は〜する/しない。ここは〜。など)。
そして、最終的に主人公がどんな状況になるか、どうなるかを一文加える。
これらの文が、これから書こう、考えようとしている話の必須条件になる。
これは「制限」だが、逆に言うとこの制限にひっかからない要素は自由に切り捨て、変更していいということ。つまり、今考えているほかの設定への執着を緩め、自由に別の物語を空想できるようにする効果があるのだ。
想像できないとき。大音響の音楽の中、目を瞑る。音楽の中で主人公の気持ちになって行動する。無理のない物語の破片が見えたら、メモに書いていく。
書く事が長く続くと、想像できなくなってくる。そうしたら目を瞑って、また繰り返す。
書いたものを見なおし、簡素にプロットをまとめるときなどは、音楽が集中の邪魔になるので、聞くのをやめる。
主人公は「プレイヤー」。
舞台に立つ主人公は様々な行動が出来るはずだ。
その中でもっとも劇的なものを物語に。
動機にリアリティがないものは、荒唐無稽だと言われる。
動機の多重化。
それを、ディーン・R・クーンツも薦めている。
小説を「書く」コツは「勢い」。スピードを殺さないこと。
つまり、うまく書こうとはせず、足りない部分を調べようとせず、ダイジェストでもかまわないから、台詞を入れながら、書ける部分からどんどん書いていく。
あとで修正することを前提として書けば、勢いを殺すことなく書ける。
説明を書くのではなく、以下のものを書く。
- 人物が感じた事
- 人物が思った事
- 人物が考える内容
- 人物がその目で見たもの(主観的、見て想像すること)
そう、あくまで人物の気持ちが大事なのだ。
例外はあるが、9割以上をこれで埋めるつもりで、読んでいる間は主人公になりきれる(主人公の気持ちになれる)、ストーリーを書こう。
このときの「人物」は、その場面に主人公がいる場合(あるいはその場面の主人公がいる場合)、7割が主人公の思いを通しての(物や、自分の行動や、他人の行動の)描写で、2割が他人の思い/解釈を通しての、主人公の描写。1割はそのほか。
1人称を、3人称で自然な形に見えるよう書く感覚。
――このことは、物語への一体感を出す、最も大事なポイント! これをしないと、いつまでたっても外の世界の話で、興味がわかない。